ロックミュージックの定番ギターアンプと言えばマーシャルです。ギターの付属品や周辺機器の買取の定番と言えます。ここでは、マーシャルアンプの歴史や名機と呼ばれるモデル、マーシャルに合うギターやエフェクターについて紹介します。
マーシャルアンプの歴史
マーシャルはイギリス・ロンドン発のギターアンプブランドです。創業者のジム・マーシャルにちなんで名づけられました。
1960年、元々ドラム教室を開いていたジム・マーシャルは、ドラム専門ショップのマーシャル・ショップを開設します。マーシャル・ショップのギターアンプが欲しいという要望が強く、1962年にギターアンプのフェンダー・ベースマンを参考に「JTM45」を開発しました。
マーシャル・スタック
ロックミュージックの流行も影響してマーシャルは大型・大音量のアンプに注力します。特に、ザ・フーのギタリストのピート・タウンゼントは大音量のギターアンプの開発を望んでいました。
当初、マーシャルJTM100(JTM45の100ワット)は12インチのスピーカーが8個入ったキャビネットでした。でも、重量が重くてサイズも大きいために機材運搬が大変という不評が起きていたようです。
そこで機材運搬の手間を軽減すべく、12インチスピーカー×4個のキャビネットを2台用意する2段重ねを提案しました。これがマーシャル・スタック(キャビネット2段とアンプのヘッドと併せた3段積み)です。その後、マーシャル・スタックを想定して1959が登場します。
マーシャル・スタックは「マーシャルの壁」と呼ばれることもあります。今ではPAシステムが進化したのでキャビネットを何段も積む必要はありませんでした。でも、当時は大きなワット数のギターアンプを使わないと大きなライブハウスでは使えないという事情があったのです。
ちなみに、キャビネットスピーカー1台にヘッドを重ねるスタイルはハーフ・スタックと言います。現在のPAシステムならハーフ・スタックで十分なケースも多いですが、見た目の面からマーシャル・スタックを組むギタリストも少なくありません。
マーシャルアンプの特徴
マーシャルのギターアンプはロックサウンドの代名詞です。真空管アンプ(チューブアンプ)らしい、温かみのあるハイゲインのオーバードライブ・ディストーションの音が表現できます。特に中音域は豊かに鳴りますが、のびやかな高音域と低音域も強みです。
広く普及している定番のマーシャルアンプはJCMシリーズです。中音域が豊かなオーバードライブ・ディストーションサウンドは1980年代に一世を風靡しました。世界中で定番のギターアンプになり、ハードロックやヘヴィ・メタルなどのジャンルのギタリストたちが愛用しています。
マーシャルアンプの定番・名機
マーシャルは数多くの名機と呼ばれるギターアンプを開発してきました。ライブハウスやスタジオでは定番になっているおすすめのアンプを紹介します。
マーシャル・1959Super Lead
マーシャルがザ・フーのギタリスト、ピート・タウンゼントの要望に応えて開発したアンプが1959です。
1959の開発当時はPAシステムの概念がなかったため、ライブハウスで演奏するならステージで爆音を出す必要がありました。爆音を出すためにマスターボリュームがなくボリュームコントロールのつまみが2つあります。
つまみをすべて10にしたフルテン状態はまさにマーシャルの歪みです。実用性の低いヴィンテージアンプに見えますがアッテネーターを使えばボリュームコントロールはできます。力強いバッキングや伸びやかなギターソロなど、どんなシーンで弾いてもマーシャルの音がするアンプです。
マーシャル・JCM800 2203
メタリカやブラックサバスなど、1980年代に活躍したヘヴィ・メタルバンドのギタリストは必ずと言っていいほどJCM800 2203を愛用していました。特徴的な中音域とトレブリーなサウンドはロックバンドの概念を根底から覆します。
JCM800 2203はマスターボリュームが付いた100Wのアンプ(ヘッド)です。ちなみに、マスターボリュームがない50Wアンプが1987、マスターボリュームが付いた50Wのヘッドは2204と呼ばれます。
JCM800シリーズは1990年にJCM900が登場したために生産終了しました。でも、JCM800 2203は再販を望むギタリストたちの要望に応えて2002年に復刻してから、2019年現在まで生産が続いています。
なお、現行品のJCMは従来と比べて荒々しいサウンドは少し控えめになりました。とはいえ、オリジナル(ヴィンテージアンプ)が持つサウンドキャラクターは踏襲しているので現行品でもハードロックやヘヴィ・メタルの音作りはしやすいはずです。
マーシャル・JCM900 4100
マーシャル・JCM800シリーズの後継機がJCM900シリーズです。特に、4100はA/Bの2チャンネルを切り替えることで、クリーンと歪みを使い分けることができます。
当時、ハードロックやヘヴィ・メタルのギタリストはJCM800により深い歪みを求めていました。たとえば、JCM800を改造したりエフェクターでさらにハイゲインに歪ませたりといった工夫をしていたようです。でも、アンプの寿命を縮めたりゲインと一緒にノイズが出たりと、粗悪な改造モデルも少なかったと言います。
多くのギタリストが抱える課題を解決すべくマーシャルが開発したのがJCM900です。新たな時代を切り開くハイゲインアンプとして彼らの要望に応える音作りができるギターアンプとなりました。
ちなみに、JCM900が1990年に登場した翌年、メサブギーのデュアルレクチやピーヴィーの5150が市場に現れます。マーシャル以外にも多くのメーカーがハイゲインアンプ市場に参入することで、ハイゲインアンプ全盛期の時代に突入しました。
SLX(Super Lead X-tra Gain)
JCM900以降、マーシャルのアンプにはSLXと表記されるモデルが増えました。これはSuper Lead X-tra Gainの略で、特に強烈なハイゲインという意味があります。大きな違いはプリアンプ段にプリ管を増設し、歪みを作る増幅段のプリ管を4本に増やした仕様にした点です。1993年に登場したので他社のハイゲインアンプに対抗するために作られたのかもしれません。
パワー管の変更(EL34から5881)
1990年代のマーシャルアンプはそれ以前のモデルと比べてソリッドな音が特徴です。その理由のひとつにパワー管の変更が影響しています。
1980年代のマーシャルアンプの真空管は、ロシアの真空管メーカーのソブテックから輸入していました。でも、ソブテックから真空管が安定供給されなくなったため、EL34から5881の真空管に変更されます。
5881の真空管を搭載したアンプは1998年まで製造されていました。マーシャルの中では少し透明感のあるクリーントーンやモダンなディストーションサウンドが特徴です。一部のマーシャル好きなギタリストからは落胆の声が挙がったこともあり、以降のJCM2000シリーズも含めてEL34の真空管に戻ったのです。
マーシャル・JCM2000 DSL100
2000年代のマーシャルをリードするマーシャルのアンプがJCM2000シリーズです。2000年代のマーシャルと言いましたが、厳密には1997年に発売開始しました。
クラシックゲインとウルトラゲインの2チャンネルがあるDSL(Dual Super Lead)と、さらにクリーン・クランチ・リードの3チャンネルに分かれるTSL(Triple Super Lead)があります。回路構造上、2つのアンプは音が違いますがDSLのほうが主流です。
JCM2000 DSL100はマーシャル従来の歪み回路(ダイオードクリッピング)を廃止し、真空管のみに変更しました。フットスイッチでのチャンネル切替により、美しいクリーントーンからヴィンテージ感のあるマーシャルのクランチサウンド、モダンなディストーションサウンドまで、アンプのみで幅広いサウンドに対応できます。
また、トーンシフト機能では中音域をカットしたドンシャリサウンドが表現できます。中音域をカットすることでヘヴィ・メタルのギターの音作りもしやすくなりました。
また、1990年頃からコンパクトエフェクターの性能向上に伴い、エフェクターを多用するギタリストが多数登場します。彼らの課題はエフェクターのサウンドをきれいに効かせることでした。JCM2000 DSL100はバックパネルにエフェクトループがあるので、エフェクターの効果を濁りなく加えられるようになったのです。
ちなみに、マーシャルJCM2000 DSL100の復刻モデルがDSL100Hです。
マーシャル・1962(ブルースブレイカー)
ディープパープルのリッチー・ブラックモアのリクエストに応えてマーシャルが開発したのが1962(ブルースブレイカー)です。
その歴史からスタックが一般的なマーシャルアンプですが、1962はコンボアンプの点が最大の特徴と言えます。スピーカーの数が少ないため音量が大きくなりません。
また、スタックアンプよりも真っすぐ音が飛ぶほか、オープンバックのコンボアンプなので背面からも広がるように音が出ます。マーシャルらしい歪みなのにヴォックス(VOX)のような質感も併せ持っていることが特徴です。
マーシャルを使用するアーティスト(ギタリスト)
マーシャルのギターアンプを愛用するアーティストは以下の通りです。ロックの定番アンプなので当然ですがそうそうたるギタリストが名を連ねます。
- ピート・タウンゼント
- ジミ・ヘンドリックス
- エリック・クラプトン
- ジミー・ペイジ
- リッチー・ブラックモア
- マイケル・シェンカー
- トニー・アイオミ
- ジェイムズ・ヘッドフィールド
- ケヴィン・シールズ
マーシャルアンプの使い方
マーシャルアンプは真空管アンプなのでトランジスタとは使い方が違います。音作りと併せて紹介します。
基本的なアンプの電源の入れ方・切り方
マーシャルアンプは最初に真空管を温める必要があります。チューブアンプを痛めないためです。真空管のパワー管が壊れる原因になるので、必ずアンプとスピーカーを繋いでボリュームを0にした状態で電源を入れてください。
まずはパワースイッチをオンにして赤く点灯したら2~3分ほど待機して真空管を温めます。真空管が温まったらシールドを挿してスタンバイスイッチを押し、ボリュームやイコライジングを調整しましょう。
演奏が終わったらアンプのつまみをすべて0にしてスタンバイスイッチをオフにします。シールドを抜いたら2~3分待機してパワースイッチをオフにしましょう。
イコライジングによる音作り
マーシャルJCM2000のイコライザーを例に音作りを紹介します。
イコライジングのつまみは、トレブル・ミドル・ベースともに5がフラットな音域です。ボリュームのつまみはスタジオやライブハウスの広さ、メンバーの楽器のボリュームによって変わります。プレゼンスは上げすぎると耳が痛くなるので1~2くらいにしましょう。
ちなみに、ギターの音色を歪ませるならゲインのつまみを上げます。ディープスイッチやトーンスイッチなどはひとまずオフで構いません。自分好みの音作りをする場合は調整しましょう。
マーシャルに合うギター
マーシャルに合わせるギターはどんなものがあるでしょうか。ここでは定番のレスポールとテレキャスターのセッティング例を考えてみました。
レスポール
レスポールはマーシャルアンプに合うギターと評判です。古くから多くのギタリストがレスポールとマーシャルを組み合わせた音を愛していました。
本来、レスポールは中音域と高音域の主張が強いギターです。でも、マーシャルと組み合わせることでトレブリーさが落ち着いてファットな音色になります。
たとえばレスポールは1959のようなクラシックアンプではガンズ・アンド・ローゼスのスラッシュのように王道なロックサウンド、JCM900やJCM2000のようなハイゲインアンプはザック・ワイルドのようなハードロックやヘヴィ・メタルサウンドになります。
また、レスポールは出力の高いハムバッカーのピックアップを使用しています。ハムバッカーはマーシャル系のアンプと相性がよいです。ギブソンやエピフォンのレスポールを持っているなら一度使ってみましょう。
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テレキャスター
テレキャスターとマーシャルの相性が合わないとする人は少なくありません。
たしかにシングルコイルピックアップのテレキャスターは、マーシャルアンプと組み合わせるとトレブリーさが強調されてしまいます。でも、マーシャルとテレキャスターでセッティングをする人は多いです。
JCMシリーズを例に音作りの方法を考えてみましょう。音作りのポイントはトレブルのつまみを最小限に削り、ミドルとベースは5にします。プレゼンスのつまみは0でも大丈夫です。
また、テレキャスターカスタムのようにワイドレンジハムバッカーを搭載したギターとマーシャルの相性は悪くありません。ハードロックやガレージロックのようなジャンルで活躍します。
関連ページ:テレキャスターは初心者におすすめ!弾きやすさと中古の買取価格
マーシャルに合うエフェクター
マーシャルは王道アンプですがエフェクターとの相性によって音の善し悪しが変わります。エフェクターによる特徴を見てみましょう。
マーシャルと相性がよいエフェクター
マーシャルと相性がよいエフェクターはIbanezのTS-9やFulltone OCDです。マーシャルのアンプの歪みを引き出すような音作りができるとよいでしょう。
マーシャルのアンプは中音域がフラットな音色です。TS-9やFulltone OCDのようにクセがつよくなく中音域を持ち上げるエフェクターは、マーシャルの歪みの持ち味を最大限に活かします。
ギターソロを弾くときのブースターに使うとロックなサウンドになるはずです。
マーシャルとBOSSのエフェクターの相性
マーシャルのアンプとBOSSのエフェクターの相性はあまりよくありません。たとえばBD-2(ブルースドライバー)はマーシャルのスタックアンプと合わせたとき、中音域が十分に出ないからです。
一方、ディストーションペダルのDS-1やオーバードライブのOD-3の組み合わせは比較的よいと言えます。マーシャルの歪みの特徴を殺さないエフェクターか、エフェクターの個性が強いほうがおすすめです。
なお、BOSSの空間系エフェクターの組み合わせは悪くありません。JCM2000以降のエフェクターループを通して使うと、より濁りのない音作りがしやすいです。
関連ページ:BOSS・DS-1を徹底解説!音作り・レビュー・日本製ヴィンテージの買取価格
マーシャル系エフェクター
アンプのマーシャルは高額なので買うのが難しいです。そこでマーシャル系のエフェクターを買う人もいます。
マーシャル・ガバナー
マーシャルのディストーションサウンドを再現したのがガバナーです。JCM800のようなジャキジャキしたマーシャルの音が出せます。
3バンドのイコライザーはエフェクターの音作りの幅を広げました。80年代に登場してから今までモデルチェンジを繰り返しながら発売するロングセラーです。中古エフェクター市場での人気も高いと言えます。
ちなみに、初期型のガバナーは英国製ですが復刻版は韓国製です。裏面の銀色のシールと、電池のフタのネジ(プラスドライバー型は韓国、マイナスドライバー型は英国)の形が違います。
マーシャル・ブルースブレーカー
マーシャルアンプの名機・1962を再現したエフェクターです。エフェクターの名前はジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ(エリック・クラプトンも過去に在籍)の音をモチーフにしたことが由来になっています。
ブルースブレイカーは初代のIのあとに後継機のIIが登場しました。ブルースブレイカーIIはブースト・ブルースとモード選択できることが特徴です。ブーストモードはハイゲインアンプのようなサウンドで、ブルースモードは1962のようなマーシャルのヴィンテージアンプをイメージした音作りができます。
マーシャル・ジャックハマー
マーシャルのJCM2000をイメージしたエフェクターがジャックハマーです。ハイゲインアンプの流行に伴い、ジャックハマーはハイゲインアンプのような粗い歪みの音作りができます。
また、イコライジングの柔軟性もジャックハマーの特徴です。4つのつまみでイコライジングが調整できるため、まるでマーシャルアンプを足元に置いたようなサウンドメイキングができます。
マーシャルアンプの買取価格
マーシャルは高価買取が期待できるアンプです。買取価格の相場や買取時のポイントを紹介します。
マーシャルアンプの買取相場表
ギターアンプの種類 | 買取価格の相場 |
Marshall 1959 RR | 60,000円 |
Marshall 1959 SLP | 45,000円 |
Marshall 1959 X | 30,000円 |
Marshall 1960A(JCM800) | 20,000円 |
Marshall 1960A(JCM900、JCM2000) | 21,000円 |
Marshall 1962(VINTAGE SERIES) | 40,000円 |
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マーシャルのアンプを売るときの買取のやり方
マーシャルアンプは大きくて重たいです。ヘッドだけでも20kg以上、キャビネットは30kg以上でサイズも大きいため持ち運びは簡単ではありません。
アンプヘッドは宅配買取が依頼できる
マーシャルのアンプヘッドは重さがあるもののサイズ的には宅急便や宅配便で発送できます。たとえば、イシバシ楽器ではアンプヘッド用のダンボールを用意しているので宅配買取での需要があります。ギターのアンプヘッドは梱包用のダンボールもあり宅配買取が依頼できるのでご覧ください。ちなみに、送料はかかりません。
キャビネットは出張買取を依頼すべき
アンプヘッドは宅配買取が依頼できますがキャビネットになると重さや大きさから宅配買取が難しいです。重さやサイズ感など佐川急便の一部の方法でないと買取が依頼できません。楽器買取店が負担してくれるものの送料も高くなる可能性が高いです。
そこで、マーシャルのキャビネットを売るときは出張買取をおすすめします。たとえば高価買取の楽器の買取屋さんは電話1本で出張買取が可能です。東京・神奈川なら電話から最短30分で自宅に訪問します。ギターアンプの出張買取おすすめ店はランキング形式で別ぺージにて紹介します。高価買取をご希望の方はぜひご覧ください。
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